判例評釈 2019年7月 日本評論社
防衛策の検討のための弁護士報酬の支払いと取締役の任務懈怠(東京高判平30.5.9)
上場会社の経営支配権争いの状況において、一部株主グループから取締役の解任提案を受けた旧取締役が、当該解任議案等が株主共同の利益に反する可能性を考慮して、その対応策をとるため複数の法律事務所と委任契約を締結して会社の負担で弁護士報酬を支払ったことは、前記株主グループの代表者が反社会勢力に属する者であると合理的に信じる理由が認められる本件事実関係の下では、旧取締役の善管注意義務違反に当たらない。